甲斐路で「哲学対話」

2019年6月1日

先日、特急「あずさ」に乗って山梨県甲府での研修に登壇してきました。

3日間の滞在となるので何か本を持って行こうと思い、手にしたのが「考えるとはどういうことか~0歳から100歳までの哲学入門~」(梶谷真司著)でした。これを選んだ理由は、新聞で「キセキの高校 偏差値40の高校から最難関といわれる上智大学の外国語学部に入学」という記事を目にしたからです。この「キセキの高校」が取り組んだのが「哲学対話」だったのです。これは「ブレーンストーミング」に近い自由討論のイメージです。

「あずさ」の車内で、滞在先のホテルで、露天風呂で富士山を眺めながら(というわけにはいきませんでしたが)、一気に読み終えました。この本には、次のような「哲学対話のルール」が紹介されています。

①何を言ってもいい。
②人の言うことに対して否定的な態度をとらない。
③発言せず、ただ聞いているだけでもいい。
④お互いに問いかけるようにする。
⑤知識ではなく、自分の経験にそくして話す。
⑥話がまとまらなくてもいい。
⑦意見が変わってもいい。
⑧分からなくなってもいい。

特に、「④お互いに問いかけるようにする」と「⑤知識ではなく、経験にそくして話す」は、すばらしい着眼点だと思いました。こうしてみると、職場や学校などいろいろな場所では、このような自由な話しができないことに、今さらながら驚かされます。キセキの学校では、生徒同士がこのように自由に発言できる場を設けているそうです。哲学というと難しく考えてしまいがちですが、基本は「問い、考え、語り、聞くこと」なんですね。「いじめ」や「引きこもり」も、自分の考えを自由に発信できない窮屈な環境が影響しているのではいかと考えさせられました。この本を読み、「なぜ偏差値40の学校から難関大学へ入れたのか」というより「なぜ難関大学へ入れる子が偏差値40にとどまっていたのか」がわかったよな気がしました。

この「哲学対話」は、風通しのよい職場づくりや、介護職と利用者との相互理解、利用者同士のコミュニケーション促進にも活用できる手法ではないでしょうか。興味を持たれたら、ぜひ同書を読んでみてください。

今回宿泊したホテルの最上階には露天風呂があったのですが、その注意書きが印象的でした。
「虫さんや葉っぱさんもきっとお風呂に入りたいんでしょうね。気になる方はこの網ですくってあげてください。」
なんとなくほのぼのした甲斐路の旅でした。

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