厚生労働省 vs 経済産業省?

2015年12月28日

今回は先日登壇したセミナーの報告をさせていただきます。
このセミナーは、12月から義務化された「ストレスチェック制度」への対応セミナーでした。 しかし、単に当制度の案内や対応方法を説明する内容ではありません。「高ストレス者を出さないための仕組みづくり」という内容です。
まずは「ストレス制度」について、再確認しておきましょう。

1.導入の背景・経緯
(1)仕事や職業生活に関して強い不安、悩み又はストレスを感じている労働者が5割を超える状況。
(2)仕事による強いストレスが原因で精神障害を発病し、労災認定される労働者が増加傾向。
(3)平成27年12月1日「労働安全衛生法の一部を改正する法律」施行。
~厚生労働省「労働安全衛生法に基づくストレスチェック制度実施マニュアル」より~

2.制度概要
(1)常時使用する労働者に対して、ストレスチェックを実施することが事業者の義務。 (従業員50人未満の事業場は、当分の間努力義務)
(2)実施頻度は1年ごとに1回、労働基準監督署へ報告。
(3)調査票は、仕事のストレス要因、心身のストレス反応、周囲のサポートから構成。
(4)高ストレス者と評価され、本人から申出があれば、医師による面接指導を義務づけ。

3.参考サイト
「5分でできる職場のストレスセルフチェック」 http://kokoro.mhlw.go.jp/check/
「ストレスチェック制度 簡単!導入マニュアル」 http://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/anzeneisei12/pdf/150709-1.pdf#search=’%E3%82%B9%E3%83%88%E3%83%AC%E3%82%B9%E3%83%81%E3%82%A7%E3%83%83%E3%82%AF+%E5%8E%9A%E7%94%9F%E5%8A%B4%E5%83%8D%E7%9C%81′
「労働安全衛生法に基づくストレスチェック制度実施マニュアル」 http://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/anzeneisei12/pdf/150507-1.pdf#search=’%E3%82%B9%E3%83%88%E3%83%AC%E3%82%B9%E3%83%81%E3%82%A7%E3%83%83%E3%82%AF+%E5%8E%9A%E7%94%9F%E5%8A%B4%E5%83%8D%E7%9C%81′

今回実施したセミナーの内容は、検査に使用される調査票の項目ごとへの対策、ストレス発生の仕組みにもとづいた対策についての講義と演習でした。

国が推奨する「職業性ストレス簡易調査票」は57項目から構成されています。主な質問項目は、次の通りです。
(1)ストレスの原因に関する質問項目
(2)ストレスによる心身の自覚症状に関する項目
(3)労働者に対する周囲のサポートに関する項目

また、ストレス発生の仕組みについては、NIOSH(米国立労働安全衛生研究所)による「職業性ストレスモデル」をもとにしました。

主な項目は、次の通りです。
(1)仕事のストレス要因(職場の人間関係・仕事の質・仕事の量)
(2)仕事以外のストレス要因(家庭問題・経済的問題)
(3)個人的要因(年齢・性別・性格・捉え方)
(4)周囲のサポート(上司・同僚・家族)
(5)心身のストレス反応(心理的反応・生理的反応・行動化)
(6)疾病(心身の障害)

このストレスチェック制度に対する有効な手段は、実は10年前に提唱されていたのです。それこそが「社会人基礎力」なのです。

「職業性ストレス簡易調査票」各項目への対策の極意は、次の通りです。
(1)「ストレスの原因」へは「考え抜く力」による課題解決力。
(2)「個人的要因」へは「前に踏み出す力」によるモチベーションアップ。
(3)「周囲のサポート」へは「チームで働く力」による職場コミュニケーション。

このように「社会人基礎力」(3つの能力)により、ストレスチェック制度をクリアできるのです。ストレスチェック制度を単に「行政からの締め付け」と捉えず「社会人基礎力」を強化する絶好な機会と捉えられるかが重大なポイントとなります。

先日伺った組織でも、メンタル不調者の問題が出ていました。課にひとりずつくらいいるとのことで、想像以上の実態に愕然としました。仕事量が増え、質的にも複雑・高度化し、一方で社員は増えないどころか削減の可能性さえあり、またベテランが職場を去り新人が入ってくる昨今、的確な対応を取らなければ組織は大きな痛手を被ることになりかねません。社員モチベーションの低下、離職率の高まり、進まない優秀な人材確保・・・。

来年度は「ストレスチェック制度(厚生労働省) by 社会人基礎力(経済産業省)」をひとつのテーマとして取り組んでいきたいと思います。 (文責:古木)

このページの先頭へ戻る