ソチ冬季五輪にみる社会人基礎力②(考え抜く力)

2014年3月3日

前回は「前に踏み出す力」のお手本として、フリースタイル女子モーグルに出場した上村愛子選手を紹介させていただきました。今回の「考え抜く力」のお手本としては、フィギュアスケート男子シングルの羽生弓弦選手とブライアン・オーサーコーチの師弟コンビを選ばせていただきました。オーサーコーチは、浅田真央選手のライバルで前回バンクーバー五輪にて金メダルを獲得したキム・ヨナ選手の元コーチとしても有名です。

羽生選手のインタビューの中で、こんなひと言が印象に残りました。「この1年、技術的にはそんなに進歩していると思っていません。しかし脳の使い方は成長した自覚があります」(19歳とは思えない冷静な受け答えですね)羽生選手は毎日ノートをつけ、自分のジャンプについて、青は失敗しているジャンプ、赤はしっかり降りたジャンプ、緑は回転が足りないと、分析結果を記録して反省材料にしていたのです。また、携帯電話にはソチオリンピック金メダルの写真を記録しておき、常に眺めながらモチベーションを高めていたのです。

オーサーコーチも、ほぼ毎週のようにジャッジ・ミーティングを開き、「得点が出る方法」に関して情報収集と分析をしていました。フィギュアスケートは、スピート、飛距離、得失点差などを競うスポーツと違い、ジャッジに対する戦略が大きく影響することをだれよりも熟知していたのでしょう。難易度よりもGOE(加点)を重視する手法も、考え抜かれた戦略です。ライバルであるパトリック・チャン(オーサーコーチの母国カナダ代表)の技や構成も研究し尽くして、「秒刻み比較」まで作成していました。だからこそ、フリースケートの前半で羽生選手が転倒した時にも「あらゆる起きうることを想定しています」と、後半で取り返せる自信があったのでしょう。

羽生選手とコーチがともに考え抜いた結果が、憧れのプルシェンコ選手をして「私のアイドル羽生弓弦、金メダルおめでとう」と言わしめたことでしょう。4年後の平昌五輪(韓国)での活躍が楽しみです。(文責:古木)

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